⑤ 中学生が、授業で、跳び箱の前方倒立回転跳びの練習により、傷害を負った事案(責任肯定)
⑤静岡地富士支部判平成2年3月6日(判時1351号126頁)
1.事案の概要
昭和59年2月23日、中学2年生のXは、体育の授業中、跳び箱(横置き4段、高さ約88cm)で前方倒立回転跳びを実施した際、跳び箱上部前面に頭頂部付近をぶつけ、ほぼ垂直に後方の安全マット上に落下し、第6頸髄損傷等の傷害を負った。
④中学生が、授業で、跳び箱の前方倒立回転跳びの練習により、傷害を負った事案(責任肯定)
④鹿児島地判平成元年1月23日(判タ693号169頁)
1.事案の概要
昭和58年11月11日、中学2年生のXは、体育の授業中、跳び箱運動(4段、高さ約73cm)の前方倒立回転跳びを実施した際、跳び箱斜め前方に正座の変形したような態勢で落下し、右下大腿骨骨折、右足関節外傷性脱臼の傷害を負った。
③高校生が、部活動で、鉄棒の両脚中抜き下りの練習により、傷害を負った事案(責任肯定)
③浦和地判昭和56年8月19日(判時1023号92頁)
1.事案の概要
昭和41年8月10日、高校1年生のXは、他校での練習中、鉄棒の両脚中抜き下りを実施する直前、鉄棒から手が離れマット上に頭部から落下し、頸髄損傷等の傷害を負った。
②高校生が、部活動で、鉄棒の後方屈伸二回宙返り下りの練習により、傷害を負った事案(責任否定)
②広島地判昭和53年5月23日(判時911号148頁)
1.事案の概要
昭和47年8月18日、高校3年生のXは、Y教諭の出身大学で鉄棒の後方屈伸二回宙返り下りを練習を行い、ウレタンマット上に頭部から落下し、頸髄損傷等の傷害を負った。
裁判所は、
①「Y教諭が高校生Xに鉄棒の後方屈伸二回宙返り下りを練習させたこと」について、Y教諭による高校生Xの体調管理に問題がなく、高校生Xの技能が十分であり、段階を経た練習を行ってきたこと等の事情から、Y教諭の過失を否定し、
②「Y教諭が事故当時危険防止措置を採っていたか否か」についても、マットを十分使用し、補助者2名が付いていたことから、Y教諭の過失を否定した。
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